この記事では、マレーシアの通貨(リンギット)のデザインや、マレーシアでの最低賃金など経済事情について調べています。マレーシアでは電子決済が主流になってきていますが、屋台での食べ歩きやローカルグルメ、市場での買い物はまだ現金が必要なことが多くあります。マレーシアの通貨事情を知っておくことで、旅行や滞在がより快適になるでしょう。
現在の主要通貨
マレーシアの主要通貨は「リンギット」です。補助通貨として「セン」が存在し、100セン=1リンギットとなります。「リンギット」という言葉は、マレー語で「ギザギザな」を意味しています。16~17世紀、ポルトガルの植民地で流通していたスペインドルの形状を表しているとされています。
通貨の中で、500リンギット紙幣と1,000リンギット紙幣は法的価値を失っており、1セン硬貨も非常にまれだそう。お釣りは切り上げ、もしくは切り下げて計算されます。
マレーシア通貨の表記
マレーシア通貨の国際通貨コードは「MYR」と表記され、通貨記号は「RM」です。しかし、同時に「マレーシアドル」という呼び名も使われています。マレーシアは多民族国家のため、一部地域や英語話者の間ではマレーシアドルの呼び名を使うことがあります。
補助通貨「セン」は「sen」と表記され、インドネシアやカンボジアなどの補助通貨単位としても用いられています。
現在の為替レート
マレーシアで使われている通貨「リンギット」のレートを見てみましょう。
2024年現在、1リンギット=32円となっています。アメリカドルでは0.22USD、ユーロでは0.20EURの価値があります。
リンギットは世界の通貨の中でも安定しており、為替の変動が少ないとされています。しかし、2024年に1998年以来の通貨安を記録し、より賃金の高い隣国・シンガポールに出稼ぎに行く国民が増えているのだそうです。
マレーシアの紙幣と硬貨の最新デザインと種類
マレーシアで使われている紙幣とコインのデザインをご紹介します。
100リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | キナバル山とその岩 |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | マレーシアで1番高いとされる、東マレーシアのサバ州にある山 |
色 | 紫 | |
透かし | 「100」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 150×70(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note208724.html )
50リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | 初代国王アブゥドル・ラーマン |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | 初代国王がイギリスからの独立宣言をしている姿 |
色 | 青緑 | |
透かし | 「50」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 145×69(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note207759.html )
20リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | ウミガメ(タイマイ・オサガメ) |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | ウミガメはマレーシアの固有種である |
色 | 橙 | |
透かし | 「20」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 145×65(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note202043.html )
10リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | ラフレシア |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | 世界最大の花で、マレーシアのジャングルでみられる |
色 | 赤 | |
透かし | 「10」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 140×65(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note205316.html )
5リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | サイチョウ |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | マレーシアのサラワク州で伝統とされる鳥 |
色 | 緑 | |
透かし | 「5」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 135×65(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note203263.html)
2リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | クアラ・ルンプール・タワー 人工衛星MEASAT |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | クアラ・ルンプール・タワーは、マレーシアの首都クアラルンプールにある通信塔 |
色 | ライラック色 | |
透かし | 「2」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 130×65(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note209945.html )
1リンギット紙幣
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | 初代国王アブゥドル・ラーマン ハイビスカス | ワウ・ブラン |
デザイン詳細 | ・「マレーシア独立の父」と呼ばれるマレーシア(マラヤ連邦、サバ州、サラワク州、シンガポールが統合)の初代首相 ・ハイビスカスはマレーシアの国花 | マレーシアの伝統凧 |
色 | 青 | |
透かし | 「1」の文字と初代国王の肖像画 | |
大きさ | 120×65(mm) |
(画像の引用:https://en.numista.com/catalogue/note202971.html)
50セン硬貨
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | ハイビスカス | エンドウ豆のつる |
デザイン詳細 | マレーシアの国花 | |
素材 | ニッケル黄銅メッキ銅 | |
大きさ | 22.65mm | |
重さ | 5.66g |
(画像の引用:https://www.bnm.gov.my/-/50-sen )
20セン硬貨
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | ハイビスカス | ジャスミンの花 デスターシガ |
デザイン詳細 | マレーシアの国花 | ・ジャスミンはマレーシアの結婚式やお祈りの際に芳香剤として使われる ・デスターシガは、マレーシアの伝統的な織物の模様 |
素材 | ニッケル黄銅 | |
大きさ | 20.60mm | |
重さ | 4.18g |
(画像の引用:https://www.bnm.gov.my/-/20-sen)
10セン硬貨
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | ハイビスカス | マーメリ族の伝統的な織物模様 |
デザイン詳細 | マレーシアの国花 | マーメリ族は半島マレーシアの先住民族 |
素材 | ステンレス | |
大きさ | 18.80mm | |
重さ | 2.98g |
(画像の引用:https://www.bnm.gov.my/-/10-sen )
5セン硬貨
デザイン | 表(Front) | 裏(Back) |
描かれているもの | ハイビスカス | デスターシガ |
デザイン詳細 | マレーシアの国花 | マレーシアの伝統的な織物の模様 |
素材 | ステンレス | |
大きさ | 17.78mm | |
重さ | 1.72g |
(画像の引用:https://www.bnm.gov.my/-/5-sen )
偽札を防ぐためにしてること
マレーシアの紙幣において偽札を防ぐために施されているのは、以下の通りです。
- 凹凸印字
- シースルー印刷
- 白いライトに当てて見ると画像が浮かび上がる
- 傾けて見ると文字や画像が浮かび上がる
- マイクロ文字
- ホログラム印刷
- セキュリティ・スレッド
- UVライトで見ると画像やセキュリティファイバーが浮かび上がる
マレーシアの最低賃金と平均年収は?
マレーシアの最低賃金と平均年収を見てみましょう。マレーシアでは2022年に「最低賃金命令」が施行され、月給1,500リンギットもしくは時給7.21リンギットと決められています。日本円に換算すると、月給49,529円もしくは時給238円となります。マレーシアでは、最低賃金令を2年ごとに見直すことを規定しているそうですよ。
また、マレーシアの平均年収は79,000リンギットで、日本円にすると約238万円です。日本の平均年収の約半分ほどの金額です。なお、マレーシアの物価は日本の半分以下といわれていますよ。
まとめ
マレーシアの通貨・リンギットについて調査しました。マレーシアは富裕層の人たちが移住するイメージがありますが、意外にも平均年収が日本の半分ほどだったり、物価が安く庶民的な生活がしやすかったりする特徴が垣間見えました。
決済方法は電子マネーやクレジットカードが主流ですので、マレーシアを訪れる際は現金のほかに決済手段を持っておくと良いでしょう。
参考文献
- https://en.numista.com/catalogue/malaisie-banknotes-1.html
- https://www.bnm.gov.my/current-banknote-series
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%83%E3%83%88#%E5%A4%96%E9%83%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF
- https://en.numista.com/catalogue/malaisie-1.html
- https://www.xe.com/ja/
- https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/hr-data/jp/about-labor/malaysia/#d-4
- https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/1d7382533378069b.html
- https://wise.com/jp/currency-converter/currencies/myr-malaysian-ringgit
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3
- https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240510/k10014444441000.html