皆さんは金の埋蔵量世界一は日本だということをご存知でしょうか。多くの人が日本は様々な資源を輸入に頼っていると考えているかもしれませんが、埋蔵量は多いというのが事実です。
そんな金ですが、どうやってできているのでしょうか。また、金の精製方法なども気になりますよね。そこで今回は、金はどうやってできるのか、鉱脈から金の採掘、鉱石の精製方法を調査します。
金はどうやってできる?
金は数ある金属の中でも価値が高く、近年は資産形成の1つとしても考えられるほど高値で取引されています。金の相場は1gあたり約16,000円とされるほど価値がありますが、どうやってできているのでしょうか。
2025年5月現在でも、金がどうやってできているのかは解明されていません。しかし、金がどのようにできているのか2つの有力な説があるそうです。それでは、金はどうやってできるのか詳しくみていきましょう。
星の爆発
現代でも金はどうやってできるのか解明されていませんが、最も有力な説だと言われているのが星の爆発によって生まれたのではないかという考え方です。
宇宙空間にある惑星は途方もないパワーを持っていると考えられており、核融合を繰り返していく中で銅や亜鉛、金といった金属ができたのではないかと考えられているとされています。そして、核融合によって生まれた金属が隕石となり、地球上に降り注ぎ、山や地中に張り込んだのではないかと考えられているようです。
マントル内部
金は宇宙でできたものという説に対し、地球の奥深くのマントル内部で生成されたという考え方もあるそうです。マントル内部で生成された金が火山の噴火などによって地表に噴出し、長い年月をかけて冷えて、火成岩などになり、そこから採掘されたのではないかとされています。
実際にアルゼンチンのパタゴニアで地中深くで見つかった岩石の金が含まれていたことからこの説が唱えられるようになったようですが、生成過程などが不明であることから有力ではないとされているようです。
金は人工的に生成できる?
希少金属である金を人工的に作ることができれば、様々な分野で多く利用できることになるかと思います。現時点では水銀に中性子線を照射することで、核融合を起こして人工的に金を生み出すことに成功しているそうです。しかし、この方法で生み出された金は1gを生み出すのに100万円以上の費用がかかってしまうというデメリットを抱えています。金の相場は約16,000円なので、実に約66倍のコストがかかっていることや生み出されたものが放射線を帯びているという問題があるため実用化に至っていないようです。
鉱脈から金の採掘方法は?
一般的に金は鉱山などから採掘されるイメージがありますが、河川などでとても細やかな粒である砂金が発見されたり、温泉地などに見つかることもあります。そういった場所で発見された金はどのように採掘されているのでしょうか。
それでは、鉱脈から金の採掘方法を詳しくみていきましょう。
選鉱鍋
砂金などを採掘するのに適していると言われているのが、古代エジプトに用いられていた選鉱鍋というものを使う方法です。選鉱鍋は直径25cmから40cmほどの大きさで、内部に渦状の段差があるパンニング皿というものを使って行ないます。
パンニング皿を使って砂を掬うことで、内部に比重の想い金だけが残り、選別できるようです。
選鉱台
選鉱台も選鉱鍋と同じで砂金などを採掘するのに適しており、1度により多くの砂などを選別することができます。選鉱台の上部には入り口がザルのようになっている箇所があり、そこから砂金などが入っていると思われる砂などを入れることで、台の底に金が溜まる仕組みになっているそうです。
露天掘り
露天掘りは地面から金などがあると思われる鉱脈に向かって渦や階段状に掘り進めて、採掘するという方法です。
露天掘りは坑道を作らないで地中近くにある岩石などを掘削していく方法なので、落石のリスクがありませんが、廃棄物や景観を壊してしまうと言うデメリットがあります。
水圧掘削法
水圧掘削法は19世紀のカリフォルニアで誕生した方法で、水力採鉱とも呼ばれています。水圧掘削法は鉱脈周辺に高圧の水をかけ、土砂などを水路などに落とし、比重が重い金を含んだ部分が自然に沈殿するのを利用したやり方です。
坑内採鉱法
多くの人が採掘と言われ、連想するのが坑内採鉱法ではないでしょうか。坑内採鉱法は鉱山などに穴を掘り、内部に道を作って地中深くの鉱石などを採掘することができる方法です。
硬岩探鉱法
硬岩探鉱法は金などを含んでいる岩石を爆破、掘削し、大量の水を使って選別するという方法です。硬岩探鉱法は多くの金を採掘できる方法ではありますが、環境や人体に様々な悪影響を及ぼすとされています。
含水爆薬
現代で利用されているのが含水爆薬という採掘方法です。含水爆薬は採掘場に数十個の穴を開け、爆薬を仕掛けて爆破し、鉱石などを回収します。回収した鉱石の中から純度の高いものを選別するといった流れになる方法ですが、安全も確保されている採掘方法です。
鉱石から金の精製方法とは
鉱脈などから採掘された金などの鉱石には、不純物なども混じっているためそのままでは利用することはできません。そのため、採掘された鉱石は精製を行なう必要があります。
それでは、鉱石から金の精製方法を詳しくみていきましょう。
青化法
金を精製する際に青化カリや青化ソーダを用いた方法を青化法と言います。青化法は1888年にイギリスで誕生し、特許製法として発表されました。
金を含んだ鉱石を砕き、水と青化カリなどの溶液を入れると、金と銀が溶け出し、これをろ過し、亜鉛粉末を加えることで取り出すことが可能です。
灰吹法
灰吹法とは、金を含んだ鉱石を粉々にして鉛に入れ、溶かして取り出す方法です。鉱石を粉砕して鉛と混ぜることで鉛合金が作り出され、灰吹に入れ、高温で加熱します。鉛は金や銀より融点が低く、酸素と反応して酸化鉛となり、酸化鉛は灰吹の多孔質の壁に吸収され、最終的に金や銀だけが中央に残るというようです。
水銀アマルガム法
水銀アマルガム法は水銀に溶けやすい金の特製を利用して行なう精製方法です。金を含んだ鉱石と水銀を混ぜてできたのがアマルガムという合金で、加熱して蒸発させることで最終的に金や銀などの金属が残ります。小規模の工場でも精製できますが、水銀は環境や人体に悪影響を及ぼしてしまいます。
電解精錬
電解精錬は溶鉱炉を利用した精製方法で、大量の金などを精製することができる方法です。金や銅を含んだ鉱石を溶鉱炉に入れて溶かしていきます。そうすると、最初に銅が取り出され、熱し続けることで最後に金が残り、電気分解を行なうことで取り出すことが可能です。
まとめ
今回は、金はどうやってできるのか、鉱脈から金の採掘、鉱石の精製方法を調査しました。金はどうやってできるのかは明らかになっていませんが、人工的に作る方法や環境などに適した採掘、精製方法が生み出されてきています。
金の価値が高いのは希少だからというだけではなく、採掘、精製方法に手間がかかっていることも関係しているのかもしれないですね。