日本はマルコ・ポーロが書いた『東方見聞録』で「黄金の国ジパング」と称されるほど多くの金が採掘されていた国でした。
昔は新潟県にある佐渡金山や北海道の鴻之舞金山など様々な場所から産出されていましたが、現在、国内で稼働しているのは鹿児島県の菱刈鉱山のみとなっています。
これまでは山から採掘されていた金ですが、近年の研究によって海からも取れる方法が見つかったと話題になっているようですね。
そこで今回は、次に日本で金が取れる場所は海底なのか、海藻由来シートで金を吸着する技術などについて調査します。
次に日本で金が取れる場所は海底??
世界でもトップクラスの金の埋蔵量を誇っている場所は東京都青ヶ島です。青ヶ島は伊豆諸島に属する火山島で、有人島として最南端にあります。
青ヶ島沖の水深700メートルの回知恵には、約270度の熱水を吹き出す熱水噴出口があることが2015年に発見されており、周辺の岩には1トンあたり17グラムほどの金が含まれていました。
現在、地球上に残された金は7万トンと言われています。しかし、海水にはレアメタルやウラン、バナジウム、リチウムなどの元素が溶け込んでいて、約50億トンの金があるとされているそうです。
海藻由来シートで金を吸着する技術とは
日本だけではなく、ドイツなどの国々も海水から金を抽出する方法を研究していましたが、含まれている元素が多すぎることや取れる量が僅かなこと、水深が深すぎることからコスト面を理由に断念せざるを得ませんでした。
日本では海藻由来シートを利用して金を吸着する技術を開発したと言われていますが、どのような仕組みになっているのでしょうか。
海藻由来シートの仕組みやそれにかかる費用などを詳しくみていきましょう!
藻が不純物を吸着する?
海藻由来シート「ラン藻」を開発したのは大手機械メーカー「IHI」の福島康之さんです。
熱水の中に含まれている金は塩化物イオンと結合していて、塩化金なっているのですが、「ラン藻」はそれを吸着します。
吸着された塩化金は金だけとなり、プラスの電気を纏っていて、「ラン藻」はマイナスの電気を帯びているとか。お互いが引き寄せられ、最終的に1,000度の高温で加熱することで藻が燃え尽き、金だけが残るそうです。
福島康之さんが開発した「ラン藻」はシート状に加工することができ、光を当てることで吸着力が上がるとか。
費用は700万円!?
深海の中で金を多く含んでいるとされている東京青ヶ島ですが、実際に専用の機械などを使って潜った場合には700万円ほど費用が掛かってしまうそうです。
海藻由来シート「ラン藻」を使って金を取ったときには、世界の主要鉱山から採掘される鉱石の約2倍の濃度となる7ppm(1トンあたり7グラム)という数値が出ましたが、それでもかなりの費用が掛かってしまいます。
しかし、従来の金採掘には水銀を用いることが多く、重大な健康被害があるようで、「ラン藻」を使った方法の確立化には大きな期待が寄せられているようですね。
金の抽出はどうやって行う?
金は採掘された鉱石の中に僅かな量しか含まれていません。そのため、金を抽出するためには様々な方法が用いられています。
青化法:青化カリや青化ソーダの溶液を使った方法 灰吹法:砕いた鉱石を鉛に入れて溶かして金を抽出する方法 水銀アマルガム法:金は水銀に溶けやすい性質なので、それを利用して精錬する方法 電解精錬:銅の溶鉱炉を利用して、残った金属に電気分解処理をして取り出す方法 |
まとめ
今回は次に日本で金が取れる場所は海底なのか、海藻由来シートで金を吸着する技術などについて解説してきました。
次に日本で金が取れる場所は東京都青ヶ島の海底で、世界でも有数の含有量を誇っているそうです。
大手機械メーカー「IHI」の福島康之さんが開発した海藻由来シート「ラン藻」が海水に含まれている金を抽出するのに用いられています。「ラン藻」は結合して塩化金となっている金から塩化物を吸着し、最後に藻を燃やして抽出するという技術です。