多くの人はお金は手の平サイズに収まるものだと認識していると思います。しかし、世界で一番大きなお金であるヤップ島の石貨は、人の大きさを上回るものもあるそうです。
では、ヤップ島の石貨とはどのようなものなのでしょうか。そこで今回は、世界で一番大きなお金であるヤップ島の石貨とは何か、それがお金の本質なのかについて調査します。
ヤップ島にある石貨とは?
お金にまつわる話としては、世界最古の硬貨、紙幣について聞くことはよくあると思います。
しかし、世界最大のお金と聞いても、ピンと来ない人が多いのではないでしょうか。そもそも、ヤップ島がどこにあるのかも知らないという人が多いと思います。
それでは、ヤップ島の石貨について詳しくみていきましょう。
場所
世界最大のお金があるとされているヤップ島ですが、どこに位置しているのかということをご存知でしょうか。
ヤップ島はミクロネシア連邦のヤップ州の州政府が置かれている島のことを指しており、西太平洋上にあるとされています。ヤップ島はミクロネシア連邦の西端にある島で、州都はコロニアと言うそうです。
また、ヤップ島は古くから航海や交易に優れた文化を持ち、過去には日本の委任統治領やドイツの植民地になっていた時期もありますが、1979年からミクロネシア連邦に属しています。
特徴
ヤップ島の石貨はフェイと呼ばれていますが、ヤップ語ではライ(Rai)と呼ぶそうです。そんなヤップ島の石貨ですが、由来や歴史はハッキリしていない部分が多いとされています。
ヤップ島の石貨は5円玉のように中央部に穴が開いている円形となっているのが特徴で、小さいものの場合は直径30cmほどとなっているそうです。また、一般的な大きさは直径60cm~1m前後のものが多いようですが、大きいものは3mほどのものもあって重さは5tもあると言われています。
素材
ヤップ島の石貨は石を削って作られたものですが、実は違う場所から運んできたものであることが判明しています。石貨に使われている結晶質石灰岩はヤップ島では産出できないものであることが判明しており、約500km離れた場所にあるパラオから運んできたそうです。
航海技術に優れていたヤップ島の住人は、カヌーの船団を作って海を渡り、パラオ人と公称して採掘する許可を得ていたと言われています。
また、ヤップ島の住人は最新鋭の機械を使うことなく、石斧で採掘をしていたそうで、何ヶ月もかけて切り出していたそうです。
苦労が価値になる?
多くの人は世界最大のお金であるヤップ島の石貨は、どのくらいの価値があるのかということが気になるのではないでしょうか。
しかし、ヤップ島の石貨の価値は数字などでは明確に示されていません。また、ヤップ島の石貨の価値を決めるのは、採掘をする際にどれだけ大変だったかによって決まるとされています。
そのため、苦労度が高い石貨ほど価値があると考えられているそうです。
機械はNG?
19世紀後半から欧米人はヤップ島の石貨の価値の考え方に目を付け、製造に関わることが増えたとされています。そういった人の中でもデービッド・ディーン・オキーフさんというアイルランド系アメリカ人は、1872年~1901年まで最新鋭の機械を使ってパラオで石貨の採掘を行なっていたそうです。
デービッド・ディーン・オキーフさんが採掘した石貨の数は1,000国あるとされ、ヤップ島でコプラと交換して財を成しました。しかし、機械を使って採掘されたため、石貨の価値は従来のものよりも低かったそうです。
日常では使われない
ヤップ島の石貨は小さいものでも30cmもあり、大きいものは3tもあるので日用品の購入で使用することは難しいです。そのため、ヤップ島の石貨は冠婚葬祭などの時に贈られる贈答品としての役割が多いとされています。
また、ヤップ島の石貨には穴が開いており、そこに丸太を通して運ぶそうですが、大きいものは移動することができないので、所有権だけが移行するという変わった仕組みになっているそうです。
実物がなくてもOK
ヤップ島の石貨は移動させなくても、所有権を移転させることができるという変わった仕組みをしていますが、実物がなくても問題ないとされています。
ヤップ島にはファツマク老人という村一番のお金持ちがいるそうですが、周囲の人はその人が所有しているという石貨を見たことがありません。しかし、ファツマク老人の祖父や曾祖父は、荒れている海の中で石貨を島に持ち帰ろうとし、途中で落としてしまったというエピソードがあります。
そして、そのエピソードを裏付ける証言をする人がおり、価値があると認められているそうです。
ヤップ島の石貨がお金の本質か?
苦労度によって価値が決まったり、実物がそのままで所有権だけが移行したりするヤップ島の石貨ですが、お金の本質であると言われているのはなぜでしょうか。
そのように考えているとされたのは、1976年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者であるミルトン・フリードマンさんです。ミルトン・フリードマンさん曰く、所有権のみが移行するというのは先進国の近代経済取引でも起きているとされています。
では、どういった点がヤップ島の石貨がお金の本質ということを指しているのでしょうか。
信用貨幣
多くの人が何気なく使っている千円札や一万円札ですが、本来はただの紙です。しかし、多くの人がただの紙に価値があると認識し、信用度があることで紙幣・貨幣としての役割を果たしています。
そして、ヤップ島の石貨にも同様なことが言えますね。周囲から見れば、ただの石の塊である石貨ですが、ヤップ島では価値があると考えられ、苦労度が重要であるという共通認識の上に成り立っています。
現代も実物は動かない
ヤップ島の石貨は大きいものは動かせないため、所有権だけが移行するという特徴があります。
しかし、実は多くの人もこのような体験を日常的にしています。多くの人が銀行などで振込したことがあり、その際にお金が動いていると思っているのではないでしょうか。
振込などをしても実際にはお金は動いておらず、データ・記録だけが移行しています。
そのため、形的にはヤップ島の石貨と同じように所有権が移行しているだけなので、本質とされているのではないでしょうか。
まとめ
今回は世界で一番大きなお金であるヤップ島の石貨とは何か、それがお金の本質なのかについて調査しました。
ヤップ島の石貨は価値の考え方などが特殊であると感じますが、所有権だけが移行するというのは多くの人の身近にあることと言えますね。
ちなみに、日比谷公園にはヤップ島から寄贈された石貨があるそうなので、気になる人は観に行ってみましょう。








