札束で遊ぶ子供?お金が紙切れになった国はどこ?ハイパーインフレとは?

札束で遊ぶ子供?お金が紙切れになった国はどこ?ハイパーインフレとは?

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現在の日本は日用品をはじめ様々なものの値段が上がり、いわゆるインフレ状態になってしまっています。それに伴い賃上げなどといった対策が行なわれていますが、お金が紙切れになってしまった国があるということをご存知でしょうか。

そこで今回は、札束で遊ぶ子供とは何か、お金が紙切れになった国はどこなのか、ハイパーインフレについて紹介します。

目次

札束で遊ぶ子供?

札束で遊ぶ子供という言葉だけを聞くと、裕福な子がお金で遊んでいるイメージをしてしまいますよね。しかし、札束で遊ぶ子供とは全く逆の意味で、急激な物価上昇に対して対応することができず、紙幣が本当の紙切れになってしまった状況を指す比喩表現として使われています。

1920年代のドイツでは札束で遊ぶ子供の写真が撮影されており、子供の玩具として価値しかないことを示しているとも言われていたようです。また、紙幣がものを購入するための手段ではなくなっていて、燃料などとして使われていたとも言われています。

お金が紙切れになった国はどこ?

札束で遊ぶ子供の意味がお金の価値が全くなくなってしまったことを表現しているということですが、実際にどこの国がそのような状態になってしまったのでしょうか。

お金が紙切れになったになってしまったような状態をハイパーインフレと呼び、基本的には先進国で起こることは稀だと言われています。

それでは、お金が紙切れになった国について詳しくみていきましょう。

ドイツ

お金が紙切れになった国1つ目はドイツです。お金が紙切れになりハイパーインフレになってしまったのは、1921年から1923年頃だとされています。

元々、ドイツは第一次世界大戦中からインフレが進行しており、1923年1月11日に発生したドイツ・ルール地方の抵抗運動によって財政破綻の状況になってしまい、ハイパーインフレが起こってしまいました。

当時のドイツではマルクという通貨単位が使われていましたが、パン1個で1兆マルクという経済状況になっていたそうです。

オーストリア

ドイツと同じで札束で遊ぶ子供状態になってしまっていた2つ目の国は、オーストリアです。オーストリアは第一次世界大戦の敗戦国で、戦後の賠償金を支払うためにシニョリッジを行なってしまったことがハイパーインフレの引き金になってしまったようです。

シニョリッジとは、政府などが通貨を発行する際に額面金額よりも安いコストで製造することで、その差額を利用してオーストリアは賠償金を支払おうとしました。

オーストリアのハイパーインフレが停止したのは、1922年8月だとされています。

ハンガリー

ハンガリーでもお金が紙切れになってしまっていたようですが、史上最悪のハイパーインフレと言われています。ハンガリーは第一次世界大戦後にオーストリアから独立しますが、急激なインフレが起こり、ハンガリーの通貨価値が一気に低下してしまいました。

さらに、第二次世界大戦が始まってからはさらに激しいハイパーインフレが発生し、1日で物価が2倍になるという事態に突入してしまったそうです。

その後に新通貨が導入されたことで収束しますが、1億兆と書かれた紙幣が発行されていたとも言われています。

ジンバブエ

これまではヨーロッパ諸国で起こっていたハイパーインフレですが、2000年代にジンバブエでも発生していました。

ジンバブエでは、2000年に白人が所有する土地を強制収用するという法律と外資系企業に対して株式の過半数を強制的に政府に譲渡するという法を2007年に成立されます。これらの法律によってジンバブエ国内からは白人農家が追い出され、主産業であった農業が崩壊することになってしまいました。さらに干ばつも起こったことで極度の物資不足となり、ハイパーインフレが起こってしまったようです。

ベネズエラ

ベネズエラは世界でも有数の原油埋蔵量を誇る国として知られています。そのため、ベネズエラは輸出の9割を原油に頼っている状況だったのですが、2015年に原油価格の急落が発生し、それによって経済危機に陥ってしまいました。

2016年時点でベネズエラのインフレ率は700%に達しており、新通貨や仮想通貨を発行するも改善には至っていないようです。また、経済と治安の悪化によって国民は疲弊してしまい、400万人以上が周辺諸国に避難するようになってしまいました。

ハイパーインフレとは?

日本ではハイパーインフレと呼ばれていますが、正式にはハイパーインフレーション(Hyperinflation)といい、経済学的には急激な加速を見せるインフレーションのことを指しているようです。ハイパーインフレはインフレーション率が毎月50%以上であることが定義とされており、物価が1年後には129.75倍になってしまうとも言われています。

また、国際会計基準では3年間で累積100%以上の物価がハイパーインフレとされていますが、なぜ発生してしまうのでしょうか。

戦争の影響

ハイパーインフレが起こってしまう要因としては、戦争の影響が挙げられています。戦争によって国内の生産量は低下してしまい、それによって一気に供給能力が下がってしまいます。

しかし、戦時中においても食料・燃料・生活必需品などは必要なもので、供給不足なのを政府がお金を発行して補填することによってインフレ加速してしまうようです。

また、敗戦国となってしまった際の賠償金支払いなどの財政赤字も影響しているとされています。

経済構造

ハイパーインフレが起こる要因は、物資を輸入に頼っていたり、飛び抜けた輸出産業に依存したりという経済構造が関係しているとされています。

食料などを輸入に頼る国では外貨が必要となりますが、確保するためには財源がなくてはいけません。しかし、ジンバブエなどのように1つの産業に依存した形では価値が下落してしまったり、生産できなくなってしまったときに経済的に危機に瀕してしまいます。

そして、経済が不安定になることで輸入が行えず、自国の通貨が下落し、国内での物資の価格が跳ね上がり、ハイパーインフレとなります。

まとめ

今回は、札束で遊ぶ子供とは何か、お金が紙切れになった国はどこなのか、ハイパーインフレについて紹介しました。

お金が紙切れになってしまった国は意外と多く、戦争や1つの産業に依存していた結果、ハイパーインフレとなってしまったようです。ハイパーインフレになってしまうとすぐに改善させることは難しいので、そうならないようにしていくことが重要なのではないでしょうか。

この記事を書いた人

今まで勉強してこなかった歴史と経済にハマり、仕事を辞めて世界を放浪中。旅行をしながらその土地の文化と歴史に触れています。キャッシュレスが進む昨今ですが、意外と貨幣にはその国の歴史が詰まっていました。いつ現金がなくなるか分かりませんが、今だからこそ世界のお金のトレビアを紹介します。

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