近年はキャッシュレスが進み、クレジットカードやQR・コード決済などが主流になってきました。しかし、元々は金貨や銀貨、銅貨などが使われていましたが、世界最古のお金はどういったものなのでしょうか。また、エレクトラム硬貨の価値なども気になりますよね。
そこで今回は、世界最古のお金と言われるリディア王国のエレクトラム硬貨などについて調査します。
リディア王国のエレクトラム硬貨とは?
世界最古のお金だとされているリディア王国のエレクトラム硬貨ですが、どういったものなのかということをご存知でしょうか。
エレクトラム硬貨の素材なども気になりますが、リディア王国が現在の国のどの位置にあったのかということなども知らないという人が多いと思います。
それでは、世界最古のお金とされるリディア王国のエレクトラム硬貨について詳しくみていきましょう。
現在のトルコ西部
世界最古のお金・エレクトラム硬貨が発明されたのがリディア王国とされており、国の場所はアナトリア半島と言われています。
アナトリア半島とは現在のトルコ共和国が大部分を占めるアジア大陸の最西端です。リディア王国は紀元前7世紀から前546年まで栄えた国で、全盛期を迎えた頃には巨大なアルテミス神殿を建造していたそうです。
しかし、リディア王国はアケメネス朝ペルシアのキュロス2世と対立し、前546年に滅ぼされてしまいました。
硬貨は前670年頃に誕生
世界最古のお金となるリディア王国のエレクトラム硬貨が誕生したのは、前670年頃だとされています。
エレクトラム硬貨のエレクトラムとはギリシャ語で琥珀という意味があり、金銀合金の淡黄色が連想されることから名付けられたそうです。エレクトラム硬貨はリディア王国のギュゲス王によって発明されたもので、紀元前600年頃にはアリュアッテス2世によってその品質が保証され、貨幣として発行されるようになりました。
金と銀の合金
世界最古のお金・エレクトラム硬貨は、トルコ共和国のエーゲ海沿岸を流れるパクトロス川の河床から採取された砂金が使われていました。河床の砂金は自然金とも呼ばれており、完全なる金ではなく、数%から数十%の銀を含んでいます。金と銀は化学的な性質や原子半径が似ていることから親和性が高く、完全固溶体として自然界で共存していることが多いそうです。そのため、エレクトラム硬貨は人の手が加わる前から金と銀の合金になっていました。
取引を円滑にするために造られた
エレクトラム硬貨がリディア王国で造られるようになったのは砂金を偶然発見したからではなく、取引を円滑にするためだったとされています。
リディア王国の首都サルディスは砂金が豊富に取れることで有名で、エーゲ海・メソポタミア・ペルシアと続く東西交易の重要な地点だったことから硬貨を生み出す必要があったとされているようです。
紋章や極印が刻まれている
自然合金であったエレクトラム硬貨ですが、片面にはアリュアッテス2世を象徴するライオンの紋章やスタテルという単位、品質保証や偽造防止などのための極印が刻まれていたそうです。
ちなみに、アケメネス朝ペルシアのキュロス2世によって滅ぼされた後、ダレイオス1世がリディア王国の技術力と資源に目を付け、ダレイコス金貨とシグロス銀貨という貨幣を発行させました。また、この貨幣にはペルシア王の全身像が刻まれていて、世界初となる人物像が彫られたコインでもあったそうです。
インゴットのような形をしていた
当初、リディア王国では採取された砂金を鋳造することなく、砂金のまま使っていたそうです。そのため、パクトロス川で取れた砂金は秤量貨幣として使われていましたが、利用する度に計量するのは手間がかかることから鋳造し、重さが均一となる硬貨にするようになりました。
そして、当時のリディア王国では重さがお金の価値として考えられていたので、重量が違うエレクトラム硬貨が数種類造られていたそうです。
人工的に銀の割合を増やしていた
世界最古のお金・エレクトラム硬貨は自然合金ではありましたが、採取されたものそのまま鋳造していたわけではなかったようです。リディア王国ではエレクトラム硬貨の流通量を増やすために銀の割合を増やしていました。また、銀の割合を増やしたことで純金などよりも耐久性が高くなり、実用性のある硬貨として価値が認められるようになったようです。
ちなみに、アナトリア半島で採取される自然金の内、約70%から約90%が金となっていますが、エレクトラム硬貨は約40%から約46%程度になっています。
初めての通貨制度の誕生
エレクトラム硬貨は世界最古のお金として扱われていますが、紀元前6世紀中期にアリュアッテス2世の子・クロイソスが通貨改革を行ない金貨・銀貨を用いた通貨制度を導入しました。
それまで使われていたエレクトラム硬貨は廃止となりますが、その理由は金と銀の割合や含有量を正確に測定することが当時の技術では難しかったことが原因ではないかとされています。
ちなみに、金貨・銀貨などの硬貨という考えは、ギリシア・ローマやペルシア、インドまで広まったそうです。
世界最古のお金・エレクトラム硬貨の現在の価値は?
エレクトラム硬貨は琥珀色のような綺麗な色合いをしているのが特徴で、材質は金と銀の合金となっています。合金とはいえ、世界最古のお金となると、どのくらいの価値があるのかというのが気になりますよね。
それでは、世界最古のお金とされるエレクトラム硬貨の現在の価値を詳しくみていきましょう。
1,000万円以上?
世界最古のお金・エレクトラム硬貨は、コレクターの間などでは1,000万円以上の値が付くこともあると言われています。ただ、1,000万円以上の値が付くエレクトラム硬貨は保存状態の良いものに限られてしまうようです。エレクトラム硬貨の表面は盛り上がっているような形をしており、刻まれている図柄が摩耗していないと高値が付くとされています。
また、エレクトラム硬貨は世界最古のお金であるため現存する数が少なく、価値はどんどん高くなっているようです。
まとめ
今回は世界最古のお金と言われるリディア王国のエレクトラム硬貨などについて調査しました。
世界最古のお金とされるだけあってエレクトラム硬貨は高い価値があるようですが、グレードの高い物などは博物館などに展示されているそうです。また、エレクトラム硬貨は現在の硬貨とは違った特徴があり、見た目も美しいので博物館などで鑑賞しても面白いのではないでしょうか。